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老人ホームの見学は必要ですか?(見学同行を通じて感じること)
老人ホームへの入所を考えるにあたり、実際に見学をした方がよいですか?
よく聞かれる質問です。
この質問に対しては、やはり見学はした方が良いと思います。
やはり、パンフレットでは、どうしても分からない施設の雰囲気があり、各施設ごとに雰囲気は明らかに違います。
例えば、同じコンセプトの高級施設でも、実際に建物に入ってみると明らかに雰囲気が異なります。
なぜ、雰囲気が違うように感じるのか。
明確に説明することはできません。そこで働くスタッフさんや、施設長の人柄、あるいは、その場所(土地)が持つ波長か何かなのかも知れません。
そこで働く人たちの意識、無意識の集合体が、その場所の雰囲気を作り出していたとしても、不思議ではないと思いますし、不動産を扱うとわかりますが、その土地、建物と購入者、入居者との相性のようなものは、やはり存在すると個人的に思います。
相談者と見学を一緒にしてみると、「あそこは何となく陰気臭い」とか「なんか、あそこは嫌だ」など、およそ科学的ではない理由を話される相談者も多いです。
一方で、「この施設にしたい」と話されるときは、相談者の顔の表情も明るく、積極的に話されるなど、「ここに決められるな!」と言うのは、私どもが、説得しなくても傍で見ているだけで分かります。
実際に見学したあとで、私どもが入居する様に説得することなどは行っていません。
入所するべき時期に至り、相性が合うところが見つかれば、相談者の方が自ら入所を決断されるからです。
そのような意味では、条件や相性を含めて「的を得た」施設をご案内できるかが、大切になると思います。
そして、機が熟したタイミングで見学されることをお勧めします。
取りあえず見学だけしたとしても、その時期が来ていなければ、見学に際しての感度が低く、参考にならない様に感じます。
相談される方の話をよく聞くこと。相談される方の雰囲気と時期を感じ取ること。
そういう意味では、相談に応じるこちら側もある程度の人生経験が求められるように感じます。
あと何年くらい自分の貯金がもつか?(資金計画からみた老人ホーム探し)
ご高齢の方が、老人ホームへの入所を検討される場合によく不安に思われることです。
老人ホームへ入所するのは良いけれども、自分の貯金で一生やってゆけるのだろか?
不安に思いはじめると、老人ホームへの入所をためらってしまうのもわかります。
今回の相談者も、その様な不安があり、老人ホームへの入所を躊躇しておられました。
その方のご年齢、年金額、貯金額などをお聞きする限りは、不安など無いように思われましたが、やはり自分の貯金が減り続けるのは、精神的に不安なことは理解できます。
そこで、現在の預貯金や年金額、そして老人ホームでの生活費を想定して、あと具体的に何年お金がもつのかを、相談者と一緒にシュミレーションしてみました。
具体的な内容は差し控えますが、この方の場合は、143か月(約12年間)年金収入と預貯金の切り崩しで生活できることが判りました。
これを確認できたことで安心できたのでしょうか。老人ホームへの入所に前向きになって頂けました。
この方の場合は、比較的しっかりとしておられる方でしたから、数字でしっかり示して差し上げることで、ご理解が進んだのだと思います。
この種の相談に応じるためには、相談者が自分の資産内容を他人に教えることになるため、前提として、しっかりとした信頼関係があることが必要です。
私どもを信頼して、ご相談を下さっている方が、「これで安心できた」と満足いただける相談結果になるように気を引き締めて行きたいと考えています。
その中で、一番大切なのは「守秘義務」だと思います。
相談内容を誰かと共有する可能性がある時は、当たり前ですが相談者の同意が必要です。
相談者の家族や、紹介して下さった方、ケアマネージャーさんなど、一見すると相談者のブレーンであっても、相談者本人の同意がない限りは、相談内容を開示するべきでないと思います。
人は、誰しも秘密にしておきたい事や、出来れば知られたくない事の一つや二つあるものでしょう。
そういうことを開示してくれた相談者に少しでも秘密漏洩の不安を与えたくはありません。
相談を受ける仕事をする者にとって「口の堅さ」は、とても大事なことなのです。
もちろん、生命身体に関わるような場合や、窮迫した権利救済が必要な場合は別ですが。
この秘密保持を更にしっかり意識して、気を引き締めて相談にあたって行きたいと思っています。
生前戒名を考えたい。【続き】(死後事務委任契約後のお客様フォローより)
以前から生前戒名を検討しておられ、私どもにお手伝いをお願いしてこられた方の続きです。
まず、その方の菩提寺に電話ご連絡し、私どもが死後事務委任を受けていることを説明しました。
相談者のことは、よく覚えておられ、現在は老人ホームに入所していることなど近況をお伝えしました。
相談者が、自分が生きているうちに戒名を自分で決めておきたいと願っていることをお伝えし、相談者の代わりに私どもが、一度、ご挨拶にお伺いしたいとお願いしました。
実際にお寺にご訪問し、住職にご挨拶を終えて、戒名には相談者の職業にちなんだ「ある漢字」を使用して頂けることを期待しておられることもお伝えしました。
この宗旨では「戒名」ではなく「法名」と呼ぶそうです。
事情を察したご住職は、快く理解して下さり、その場で法名(戒名)を付けて下さり、この法名(戒名)の意味を説明して頂きました。
個人的にとても良い法名(戒名)だと感じましたし、相談者も喜ぶと確信しお寺を後にしました。
翌日、相談者のいる老人ホームに訪問し、ご住職との面談の経緯、ご住職の直筆の法名(戒名)をお見せし、この法名(戒名)の意味するところをお伝えしたところ、「私には出来すぎた戒名やわ」「これで本当に安心した」
と大変、喜んで頂けました。
最近は、お寺も檀家さんの減少が加速しているとよく聞いています。
今回の相談活動を通じて感じたことは、お寺と檀家さんとの距離感が昔に比べると開いている様に感じます。
檀家の側は、お寺の檀家であり続ける意味が解らなくなっているのでしょう。
ただ、人が良く生きて、安心して死んで行ける為にお寺の存在が、もう少し見直されても良いように感じます。
「お寺にご縁があるってなんか安心だな」と檀家さんが感じれば、檀家離れは防げるのではないでしょうか。
お寺さんを通じて、「檀家さん向けに終活の勉強会」など、お寺と檀家さんとの交流の機会がもっとあった方が良いように思います。
「お寺って、何かいろいろ相談できるかも?」と言うイメージがあれば、お寺と繋がりを持ち続ける動機になるのではないでしょうか。
ご興味があるお寺の方がおられたら、私どもで良ければいつもお手伝いしますので、ご連絡ください。
医療意思決定の支援(身元保証、任意後見契約後のお客様フォローより)
「大正」生まれの方で、私どもにて、お探しした老人ホームに入所しておられる方です。
お子様がおられないことから、私どもが身元保証人と任意後見契約、をお引き受けしている方です。
また、この方は「尊厳死の宣言」を公証役場で行い、証書にしておられます。
尊厳死の宣言とは、「延命的治療を望まないこと」を公証役場で公証人の面前で宣言し、証書にしてもらった書面です。
病院に入院するとき、この書面の写しを提出しておけば、死期にさいしては、書面に記載された希望にそった、終末期医療を受けることが期待できるとされています。
特に、お子様がおられない方は、ご準備されておかれたら良いと思います。
施設より連絡があり、「骨折の可能性があるので病院を受診する。」とのことです。
幸いにも、私どもの事業所のすぐ近所の病院でしたので、病院にて合流することになりました。
医師の説明を聞くと、やはり骨折している様で、「入院して外科的治療(手術)」をするか。
あるいは、「安静にして保存的治療」に留めるか。
医師としては、痛みの緩和のためにも、入院して外科的治療(手術)を勧める様子です。
検査に来たこの病院は、急性期の病院ですので積極的な医療を勧めるのは、ある意味、当然だと思います。
ただし、ご本人は、かなりの高齢で仮に「手術自体は成功」しても、入院期間が長引くと身体機能が低下し、嚥下力も弱くなり食事も摂り難くなるかもしれません。
結果として、老人ホームにはに戻ることができず、療養病院へ転院する方も多く見てきました。
「それは、少し違うのでないか?」と私どもは、常々考えさせられてきました。
高齢になってからの「手術の成功」と「人間らしい生活の維持」とは、少し違う部分があるのかも知れません。
今回は、ご本人がはっきりと意思を表明できる方ですので、病床で「入院、手術をして痛みを無くすか?」あるいは、「多少痛みと闘いながら安静しているか?」
お気持ちを聞いてみました。
ご本人の考えは、「手術はしない。」「入院はせずに老人ホームへ戻りたい。」と、はっきり申されました。
私どもは、この意思を無視して手術や入院を勧めることは、自己決定権を侵害することになると思いましたので、
ご本人に手術を受ける意思がない旨を医師にお伝えしました。
医師としては、多少は説得したそうでしたが、最後は本人の意見を尊重して下さり、お薬だけを頂いて老人ホームへ帰還することになりました。
もし、私どもが同行していなければ、ご本人だけで自分の意見や希望を表明できたのだろうか?
そのように考えると、時間も取られますので大変ですが、病院への受診の同行、意思決定の支援には、結構大きな意義があるのではないかと感じます。
老人ホームの方には、介護の負担が増えてしまい少し申し訳ないのですが、ご本人が入所される老人ホームは、パーソナルに沿った介護をして下さる施設ですので、きっと、今回もご本人に添った介護を頑張って下さると思っています。