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医療意思決定の支援(身元保証、任意後見契約後のお客様フォローより)
「大正」生まれの方で、私どもにて、お探しした老人ホームに入所しておられる方です。
お子様がおられないことから、私どもが身元保証人と任意後見契約、をお引き受けしている方です。
また、この方は「尊厳死の宣言」を公証役場で行い、証書にしておられます。
尊厳死の宣言とは、「延命的治療を望まないこと」を公証役場で公証人の面前で宣言し、証書にしてもらった書面です。
病院に入院するとき、この書面の写しを提出しておけば、死期にさいしては、書面に記載された希望にそった、終末期医療を受けることが期待できるとされています。
特に、お子様がおられない方は、ご準備されておかれたら良いと思います。
施設より連絡があり、「骨折の可能性があるので病院を受診する。」とのことです。
幸いにも、私どもの事業所のすぐ近所の病院でしたので、病院にて合流することになりました。
医師の説明を聞くと、やはり骨折している様で、「入院して外科的治療(手術)」をするか。
あるいは、「安静にして保存的治療」に留めるか。
医師としては、痛みの緩和のためにも、入院して外科的治療(手術)を勧める様子です。
検査に来たこの病院は、急性期の病院ですので積極的な医療を勧めるのは、ある意味、当然だと思います。
ただし、ご本人は、かなりの高齢で仮に「手術自体は成功」しても、入院期間が長引くと身体機能が低下し、嚥下力も弱くなり食事も摂り難くなるかもしれません。
結果として、老人ホームにはに戻ることができず、療養病院へ転院する方も多く見てきました。
「それは、少し違うのでないか?」と私どもは、常々考えさせられてきました。
高齢になってからの「手術の成功」と「人間らしい生活の維持」とは、少し違う部分があるのかも知れません。
今回は、ご本人がはっきりと意思を表明できる方ですので、病床で「入院、手術をして痛みを無くすか?」あるいは、「多少痛みと闘いながら安静しているか?」
お気持ちを聞いてみました。
ご本人の考えは、「手術はしない。」「入院はせずに老人ホームへ戻りたい。」と、はっきり申されました。
私どもは、この意思を無視して手術や入院を勧めることは、自己決定権を侵害することになると思いましたので、
ご本人に手術を受ける意思がない旨を医師にお伝えしました。
医師としては、多少は説得したそうでしたが、最後は本人の意見を尊重して下さり、お薬だけを頂いて老人ホームへ帰還することになりました。
もし、私どもが同行していなければ、ご本人だけで自分の意見や希望を表明できたのだろうか?
そのように考えると、時間も取られますので大変ですが、病院への受診の同行、意思決定の支援には、結構大きな意義があるのではないかと感じます。
老人ホームの方には、介護の負担が増えてしまい少し申し訳ないのですが、ご本人が入所される老人ホームは、パーソナルに沿った介護をして下さる施設ですので、きっと、今回もご本人に添った介護を頑張って下さると思っています。