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見守り契約、任意後見契約の相談に対する考え方(任意後見契約に関する相談の現場から)
83歳の男性の方より、老人ホーム入所には、まだ早いが最近、不安なことが多くなり、「見守り契約」「任意後見契約」の相談がしたいとのことで、ご相談に来られました。
介護サービスは受けておられず、介護認定も取得されていません。(非該当)
子供さんがおられず、お一人暮らしですから、いろいろ不安もあるのだと思います。
私どもでは、「見守り契約や任意後見契約」の相談をお受けする場合は、時間をかけて慎重に進める様にしています。
一般的に契約は長期間に及びますから、安易にお引き受けして、「こんなはずではなかった」と言うことになり、信頼関係が崩れてしまうのを避けたいからです。
特に、お一人で不安を募らせている方が相談に来られますから、気の迷いがあって当然ですし、私どもに対する期待が非常に大きいこともあります。
もちろん、有難いことですが、やはり限界もあります。
毎日、電話して安否の確認をして欲しいとか、日常のお手伝いをして欲しいとか、通院の同行をして欲しいとか。
この様なお手伝いは、介護ヘルパーさんのお仕事の部類であり、任意後見契約や見守り契約でカバーすることは難しいと思います。
私どもは、ヘルパーさんやケアマネージャーさんでは対応できない「緊急時の病院対応、入院手続き、身元引受人の引き受け、契約事務代行、各種の支払い事務代行」など。
緊急時の事務手続き、法律手続きが中心になります。
私どもにとっての見守りとは、安否の確認ではなく、ご本人の精神状態や判断能力を観察するところが大きいのです。
そうすることで、ご本人の人権の尊重した対応ができる様に心がけているのです。
やはり、毎日の見守り、安否確認は、介護サービスを通じた「通院同行」「日常家事の援助」などを利用した方が良いと思います。
介護保険のサービスで、週に1回ないし2回程度のサービスを受けることが可能になるはずです。
お越し頂いた相談者の方のお話を聞いていますと、まず「介護保険の認定申請」を行い、可能な範囲の介護サービスの利用を検討するべきだと考えました。
それだけで、相談者の不安のほとんどが解消されてしまうと感じましたので、まず一旦は「任意後見契約や見守り契約」のことは保留し、介護サービスの申請をする様にお勧めしました。
面談したときの印象としては、「要支援1」か「要支援2」に該当するのではないかと感じました。
もちろん、「介護サービス」だけでは対応できない部分もありますし、「見守り、任意後見契約」だけでも足りない部分が出てしまうのが実情です。
どちらも両輪で回して、サポートできるのが理想なのですが、優先順位を付けなければならないこともあります。
どちらかを先にと言うことであれば、今回は「介護サービス」の利用だと思いましたので、私どもへの依頼は一旦、「保留」ということを提案したのです。
今回の相談は、「保留」と言う形で、一旦は停止することになりましたが、必要のないものを提案したり、焦らせて契約させたりすることは、信義に反しますし私どもの本意ではありません。
また、要望が無い限りは、相談後に私どもから、電話をして契約などを促すようなこともしていません。
私どもと相性が合い、信頼して頂けたのであれば、その時期が到来すれば、改めて正式な依頼がくると考えているからです。
確かにお客様フォローとしては、「弱い」と言わざるを得ませんが、相談者の記憶と印象に残らなかったのであれば、それは私どもの「至らなさ」であり、仕方のないことだと思っています。
そのような意味では、長い時間軸の中で、しっかり地に足を付けて、いざと言う時にしっかり、「思い出してもらえる」事業を地道に運営することが大切だと感じています。
あえて一旦「保留」して、その時期を伺う、今回はその典型となった事例でした。