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老人ホーム入居支援で直面した家賃滞納問題と生活保護費の意外な落とし穴(老人ホーム探しに関する相談の現場から)
老人ホームへのご入居をサポートしていると、時に予期せぬ問題に直面することがあります。ご入居のためには、まずそれらの問題を解決する必要があり、私たちはそのお手伝いもさせていただいています。
「まさか」の家賃滞納発覚
今回も、まさにそのようなケースがありました。
ご入居される老人ホームは無事に決まり、あとは入居日を決めて引っ越すだけ、という最終段階で問題が発覚したのです。現在お住まいの賃貸住宅の家賃を滞納されていることがわかりました。
この方は生活保護を受給されており、家賃も生活保護費として支給されているはずなので、支払いができないはずはない、と最初は考えていました。しかし、通帳を拝見すると、確かにほとんど残高がありません。
生活保護費「入院基準」の盲点
通帳の内容や、お手持ちの資料を詳しく確認していくと、生活保護費が以前よりも減額されているように見受けられました。
実は、この方は以前にご入院されていたことがありました。生活保護では、入院期間が1ヶ月を超えると、その取り扱いが変わります。具体的には、「居宅基準」から「入院基準」へと切り替わり、生活保護費が減額されてしまうのです。
入院すると在宅での生活に比べて生活費がかからない、という理由から生活保護費が減額されること自体は理解できます。しかし、問題はその運用方法にありました。
例えば、1月20日に入院し、2月19日まで入院が継続した場合、2月1日支給分から減額される扱いになります。日割り計算ではないのです。
2月分の生活保護費は、1月31日か2月1日に既に支払われているため、結果として2月分の生活保護費が過大に支給された形となり、その超過分を返還する必要が生じます。一度に返還できれば良いのですが、多くの方がぎりぎりの生活を送っているため、すぐに返還することは困難です。そのため、翌月以降に支給される生活保護費から事実上の相殺が行われ、本来の支給額よりも少ない金額しか支給されなくなってしまうことがあります。
滞納の背景にある「減額」
今回も、まさにこの「入院基準」への変更が原因で、本来の支給額よりも2万円近く少ない金額しか支給されていませんでした。ここから家賃4万円を支払い、さらに光熱費などを支払うと、手元にはわずか数千円しか残らない状態です。これでは家賃を支払うのが難しいのも無理はない、と感じました。
もちろん、それが家賃を支払わなくて良い理由にはなりませんし、過大に支給された生活保護費は税金から賄われているため、きちんと返還する必要があるのは当然です。
しかし、毎月の生活保護費の返還金額については、もう少し見直される余地があるのではないかと感じました。今回の保護費の返還理由は、入院による支給基準の変更であり、不正受給ではありません。生活が破綻しないような配慮をした上で、返還額や返還期間が検討されるべきではないでしょうか。
法テラスを活用し、専門家と共に解決へ
そこで私たちは、「法テラス」を通じて法律専門家の方に相談することにしました。
法テラスは、生活保護を受給されている方は相談料が無料になるだけでなく、場合によっては依頼費用も実質的にかからないケースがあります。
今回のケースでは、滞納家賃の支払いについて話し合いが必要ですし、専門家の指導を仰ぎながら、引き続き老人ホームへのご入居を進めていきたいと考えています。
以前にもケアマネージャーや医療ソーシャルワーカーさんから、同じような相談を受けたことがありました。生活保護の複雑な運用を理解する上での参考になれば嬉しいです。