ブログ
老人ホームへの入居と同時に考えるべき「終活」:任意後見契約、死後事務、遺言書のススメ
皆さんは、終活の準備を進めておられますか?
「まだ元気だから大丈夫」「終活はもっと後でいい」そう思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は老人ホーム探しと終活は、切っても切れない関係にあります。今回は、当事業所が実際にご相談を受けた事例をもとに、元気なうちに備えておくべき終活の重要性についてお伝えします。
「口約束」では通用しない?信頼できる人に任せるための準備
先日、お一人暮らしの高齢者の方が老人ホーム探しのご相談に来られました。お子様も配偶者もおらず、ご自身に何かあった時の財産管理や、お亡くなりになった後のことを親しい知人にお願いしたいと考えているとのことでした。
しかし、そのお願いは**「口約束」**の状態。
どれほどお互いの信頼関係が厚くても、口約束では、いざという時に何もできません。たとえば、ご友人が本人の代わりに銀行でお金を引き出そうとしても、金融機関は「正式な書面」がなければ対応してくれません。お葬式の手配や納骨も同様です。
そこで、ご相談者と話し合った結果、日頃のお願い事を正式な書面に残しておくことになりました。
老人ホーム探しと並行して司法書士さんにお願いした3つのこと
老人ホーム探しを進める中で、専門家である司法書士さんに同席していただき、以下の3つの契約書・書類の作成を進めることになりました。
- 任意後見契約書:将来、判断能力が低下した時に備え、財産管理や生活に関する手続きを誰に任せるかをあらかじめ決めておく契約です。
- 死後事務委任契約書:お亡くなりになった後の葬儀や納骨、公共料金の解約、身の回りの整理などを誰に任せるかを定めておく契約です。
- 遺言書:ご自身の財産を誰にどのように引き継がせたいかを明確にする書類です。
特に、お子様がいない方の場合、遺言書がないと、法定相続人(兄弟姉妹や甥姪)が財産を相続することになり、お世話になった方に財産を残せない可能性があります。
「終活」は元気なうちでなければできない
司法書士さんによると、老人ホームへの入居は体が不自由になってからでも遅くありませんが、任意後見契約書の作成は、ご自身の判断能力がしっかりしているうちでなければできないとのことです。
「まだ元気だから」と後回しにしていると、いざという時に判断能力が不十分になり、契約を結ぶことが困難になってしまいます。
ご相談者は、老人ホーム探しは焦らずゆっくりと進める一方、任意後見契約書、死後事務委任契約書、遺言書については、「今が取り組むべき時だ」と決意されました。
この決断は、ご本人が安心して老人ホームでの生活をスタートさせる上で、非常に重要な一歩となります。今後は、司法書士さんとも連携しながら、ご相談者の老人ホーム探しをサポートしていきます。
終活と老人ホーム探し、どちらを優先すべき?
どちらも大切なことですが、今回の事例のように、終活は元気で判断能力がしっかりしているうちでなければできません。 一方、老人ホーム探しは、施設の種類やご希望の条件に合わせて時間をかけてじっくり検討することが可能です。
もし、「自分に何かあったらどうしよう」という不安を抱えている方がいれば、まずは専門家に相談し、元気なうちに備えを始めることを強くお勧めします。
当事業所では、終活や任意後見契約に関するご相談の窓口にも応じておりますので、お気軽にお問い合わせください。