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死後事務委任契約から老人ホーム探し、その後の定期的な面会(見守り、任意後見契約後のお客様フォローの現場から)
7年の時を超え、信頼が結ぶ「安心」のカタチ
先日、私どもがご入居をサポートさせていただいたお客様と、定期的な面会に訪問してきました。このお客様との出会いは、今から約7年前。長いお付き合いの始まりです。
「私には、老人ホームは不要です」その一言から始まった関係
ご身寄りのないお客様でしたが、ご自身の意思をはっきりと持たれていました。初めてお会いした時、「老人ホームなどには絶対に入りません」と仰ったのをよく覚えています。
ただ、お客様には一つだけ気がかりなことがありました。それは、ご自身の**葬儀や納骨などの「あとじまい」**について。「どなたかに依頼しておきたい」と常々考えておられたのです。
このお気持ちを伺い、私どもは**「死後事務委任契約書」**の作成をお引き受けすることを決めました。お客様の死後の葬送に関する事務や、家財道具の処分など、ご希望に沿った形でサポートさせていただく内容です。約7年前、お客様と共に公証役場へ赴き、この契約書を公正証書として作成しました。
【豆知識】 納骨については、公正証書で作成された契約書でなければ受け入れてもらえないお寺もあります。契約書作成の際は、この点も考慮に入れることが大切です。
信頼を育み、覚悟を決めたその日
死後事務委任契約を結んでからは、半年に一度ほどのペースでお客様を訪問し、交流を続けてきました。そして約2年が経った頃、お客様の心境に変化が訪れます。老人ホームへの入居に対して「腹落ち」されたのでしょう。「老人ホームを探してほしい」と、私たちにご依頼をくださいました。
おかげさまで無事にご入居された後も、お客様とのご縁は続きました。現在は**「見守り契約」と「任意後見契約」**をお引き受けし、1か月から2か月に一度のペースでお会いしています。こうして、7年という長い歳月を共に歩んできたのです。
効率だけでは測れない、私たちの「使命」
経営という視点からは、「時間をかけすぎている」と評価されるかもしれません。しかし、私たちはこの時間を何よりも大切にしています。一人のご相談者様、お客様とじっくり向き合う中で得られる学びや、人間としての成長は、何物にも代えがたいものです。
見守り、任意後見、そして死後事務。これらの仕事を通じて、私たちは「老、病、死」という人生の根源的なテーマに直面します。時には考えさせられ、反省させられる重い局面もありますが、それ以上に大きな学びがあります。デリケートな分野だからこそ、相談を受ける側には、覚悟や胆力、そして豊かな人間経験が必要だと痛感しています。そうでなければ、精神的な負担を感じてしまうでしょう。
もちろん、老人ホームのご紹介だけでご縁が終わるケースもあります。しかし、今回のお客様のように見守り、任意後見、死後事務を通じて、文字通り「最後まで」お付き合いさせていただくケースも少なくありません。どちらが良い、悪いという話ではありません。ただ、後者のような深い関わりは、私たちに人間としての深い気づきを与え、ある意味で自分自身を鍛えてくれます。これこそが、私どもの**「取り組むべき使命」**ではないかと考え、ご縁があれば積極的にそうしたサポートをお引き受けしています。